マイテンポで豪州田舎暮らし
地球の隅っこからスローライフれぽ
動物と暮らす

野性でも手乗り?! レスキューされたレインボーロリキートとの日々

こんにちは、ほのかです。

オーストラリアの田舎で暮らしていると、野生動物がとても身近です。

散歩をしていてコアラを見つけたり、道路際にワラビーが座ってたり
ハリモグラ (ネズミじゃないんです) が庭を掘ってたり…。

先日はひょっこり我が家に出現したブルータンリザードのことを書きましたが
今回は連れてこられたその日から懐いてしまった野生のレインボーロリキートの話です。

レインボーロリキートってどんな鳥?

レインボーロリキートたち

日本ではゴシキセイガイインコと呼ばれて大変珍しいレインボーロリキートですが、
こちらでは住宅街で最もよく見かける鳥の一種です。

花の蜜や果物を好む鳥で、とくにボトルブラシと呼ばれるグレビリア系の花や種は大好物。

そのカラフルでキュートな外観には似合わない濁音系の声で賑やかに鳴きながら
花から花へ、木から木へとそこら中を飛び回っています。

みんなに愛されるロリキートですが、ただひとつ、あまりうれしくないのがそのフン。

花の蜜や果肉を主食としているので、排泄物は水っぽくねっとりしています。
それを結構な高速で飛びながら落とすのです。

まっすぐ飛んでいるだけではないので、いろんなところにひっかかります。

窓とか、ガレージのドアとか、車とか。まるで狙ったんじゃないかという真ん中に。
それなりの大きさの鳥なので量もたっぷり、落とすのはなかなかの大仕事です。

ロリキートの突然の訪問

どーん!

と大きな衝突音を聞いて慌てて走って行くと、ボー然とした様子で
ベランダにたたずんでいるレインボーロリキートをみつけることがあります。

結構な高速で飛んでいるので
ガラスが見えずに激突してしまうようなのです。

軽い脳震盪を起こしているのか動けずにいます。

こんなときは安全な場所に誘導してそっとしておきます。

写真は犬が近づいて怖がったりしないよう
物干しの上で回復中のロリキートです。

もっともこれはレインボーではなく、胸にウロコのような模様があることから
スケイリ―ブレステドロリキート (Scaly Breasted Lorikeet) と呼ばれる種類ですが。

この種もレインボーロリキートと一緒に住宅街を飛び回ってます。

回復するまで優に15分ぐらいこうしていた後
元来た方へ飛び立って行きました。

こんな突然の訪問をたま~に受けて間近にロリキートを見る機会がいくらでもあるので
逆に家で飼ったりすることなど考えたこともありませんでした。

肩に乗る野生のロリキート

ある日ハビさんが一羽のレインボーロリキートを連れて帰って来ました。

ハビさんはとても目が良いので、あちらこちらで困ってる鳥や小動物をよく見つけます。
見つけるとレスキューしては連れて帰って来ます。

帰りが遅いので、ワイルドライフ病院は閉まっている時間のため
一晩家で預かり翌日病院に連れて行くというのがパターンです。

このロリキートはショッピングセンターの敷地の隅っこにおどおどした様子で
隠れていて、逃げもしなければなかなか出ても来なかったのだそう。

お腹が空いているだろうから何か食べさせようと出してみたのがオカメインコ用のシード。

この頃の私たちはロリキートに関してまるで無知で
鳥なんだから食べるのはシードでしょうとあげてみたのですが、まるで手もつけません。

調べてみてやっと甘いものが好みと知ります。

とりあえず果物やネクターを手からあげてみたら、食べました。

小さなお皿に食べ物を載せて手を出したら、なんと腕に乗ってきたのです!

食べ物のお皿を上に移動させるとお皿を追って上に上がって来て、
肩に乗りました。

そして首にぴったりと寄り添ったのです…。
その大きくて温かいこと! くすぐったいこと。。。


すっかり可愛くなってしまいました。

ホントに野生なのかしら?
それとも誰かに飼われてたのかしら?

レインボーロリキートは「荒でも馴れる」と云われるほど
人懐っこい鳥だと聞いたことがあります。

どちらかは知る由もありませんでしたが、幸い私たちの住むニューサウスウェールズ州では
野生のレインボーロリキートを飼育しても構わないことになっています。

この人懐っこいロリキートをロリと名付け(安易…)
しばらく家で預かってみることにしました。

人を追いかけるロリキート

翌日は仕事に行っている間に家の中でどこかにハマってしまったり
ケガをすることのないよう鳥かごの中に入れて出勤しました。

帰ってくると…ロリがいません。

辺りを見渡しても姿がありません。

慌てて家の中をあちこち歩いて探し回ります。
ロリ! ロリ―ッ!! と呼びながら。

ロリが隠れられそうな物入の後ろとか、ベッドの下とか
探して回ったけれど見つかりません。

ベッドルームからベッドルームへ、バスルーム、キッチン、ラウンジにランドリー…。

全てを回り終わって、ほとんど泣きそうになって落胆とともに振り返ったら、
なんとそこに私の後をひょこひょこ追いかけてくるロリがいたのです。

お腹が空いて、食べ物を探していたのでしょう。
ごはんあげるからね、とキッチンの方へ歩いて行く私の後を歩いてついて来ます。

買ってきたロリキート用の餌を水に溶いた容器を持って手を差し伸べたら
当たり前のように腕の上に乗って来て食べ始めました。

まるでずっと飼われてきた鳥のように。

こうしてロリは人懐っこく遊んだり、甘えたりしながら
あっという間に私たちの日常に溶け込んでいきました。

2週間後のあるときまでは。

鳥小屋を抜けて歩き回るロリキート

レインボーロリ初日に楽々小屋から抜け出してしまったので、
翌日は厚めの本を立てかけて入り口を押さえて出勤しました。

にも拘わらず、帰ってくると小屋はもぬけの殻…。

頭がいいんです。簡単に本をどけて出てしまいます。

相変わらず姿は見当たらず、探し回るうちに
いつの間にか後ろにいるというのがパターン化していきました。

腕に乗って餌を食べ、肩に乗ると首にぴったり身を寄せて甘え、
床を歩きながら鬼ごっこして遊び、テーブルの下でくつろぐ。

まるで長いこと飼ってきた飼い鳥との毎日と変わりません。

ある日、日本からハビさんの幼馴染が家族みんなで遊びに来てくれました。

子供たちは珍しいロリに歓声を上げて鳥小屋により
遊ぼうと戸を開けて手を差し出しますがロリは出てきません。

子供たちが小屋の中に手を入れると、ロリは小屋の隅に逃げるのです。
いつもなら自分から出てくるのに。

今度は私が手を差し出してみたけどダメ。

時間をおいては何度か試したけどまるで出ようとはせず、
子供たちのいる間はとうとう出てくることはありませんでした。

そしてこの日を境に、ロリは小屋を出たがらなくなってしまったのです。

くりくりと目を動かして、とても豊かだった表情も嘘のように消えてしまいました。

ロリの頭には家に来たときから小さな傷がありました。
飛ぼうとすることも一切ありませんでした。

もともと飼い鳥だったのか、それとも野生の鳥ながら人との接点があったのか。

以前に子供たちにいじめられた記憶でもよみがえったのか、
子供たちの手の出し方が何か別のトラウマを引き出したのか。

今となっては知る術もありません。

こうなってしまうと、これ以上私たちと居ることも
鳥かごの中で暮らすことももはやロリにとって幸せとは思えません。

元いた環境に帰るのが一番でしょう。
残念だけどお別れです。

ボトルブラシにとまるロリキート

野生動物病院に連れて行き、すべての経緯を話して後をお願いしました。

病院できちんと治療を受けて仲間たちと再会して
人間たちのことは忘れて野生の中で元気になってほしい。

やって来たその日から気持ちが通じてしまい、四六時中寄り添って過ごしたので
2週間ばかりと短い間でしたが、ロリとの日々はとても濃いものでした。

今でも思い出すと胸がポッと温かくなります。

どんなご縁で来てくれたのか、私たちをかまってくれたのか…。

この胸の温かくなる思い出をくれたロリに感謝です。

今頃は元気に仲間たちと空を飛び回っているに違いありません。

ご訪問ありがとうございます。

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