タルト・フランベってご存知ですか?
フランスはアルザス地方から国境を越えたドイツ西部、南西部一帯のスペシャリティで、ドイツ側ではフラムキッシュとかフラムクーヘンとも呼ばれます。
うす~い生地にクアーク、フロマージュ・ブランなどの生チーズ、またはクレーム・フレッシュなどを塗り、具を載せてまき窯のオーブンで焼いたもの。
典型的な具は薄切りの玉ねぎとラルドン(フランス版の風味豊かなベーコン)。
いで立ちはピザによく似てますが、決定的な違いは生地にのばすチーズのクリーミーさ。
クレーム・フレッシュを使った場合はもはやチーズではなくクリームなのでさらにリッチでまろやかな味わいになります。
これが玉ねぎの甘さとラルドンの塩気&風味とサクッと薄い生地によ~く合うのです。
キリッと冷えた白ワインといただくといくらでも入ってしまいます。
ドイツ側でこの料理に出会った私にはフラムキッシュの呼び名の方がしっくりくるのでここからはそう呼びますね。
フラムキッシュとドイツの思い出
私がこの料理に出会ったのはドイツのモーゼル川支流のザール川沿いにある小さな村に旅した時のこと。
知り合った地元の女の子、ダニエラがおいしいものを食べに行こうよと連れて行ってくれたのがタルトフランベを出すお店でした。
ピザは知っていても、同じような生地にフレッシュチーズやクリームを塗って窯で焼くという発想は私の頭にはまったく無かったのでとても新鮮でした。
こんなシンプルでおいしい料理があったなんて。
この村ではダニエラと一緒にブドウ摘みを手伝いました。
もっとも、ハサミを持った手よりも口の方がよっぽど忙しく動いていましたが…。
ブドウ畑を下から上に上りながら、朝から夕方までありとあらゆる話をしていました。
旅の話。好きなこと。嫌いなこと。好きな音楽。ボーイフレンドの話。家族の話…。
当時まだ17歳だったオードは早く家を出て働いてボーイフレンドと暮らしたいのに家族の反対で出られないからと、自室にボーイフレンドと暮らしてました。
日本ではあり得ない設定。。。
でもここはドイツ。
家にいてあげるんだから彼を受け容れて当たり前。認めないなら出て行くだけと笑ってました。
そんな若くして家を出て行ったって、親の保証もなくまともな仕事なんて得られる?なんておばあちゃんのような要らぬ心配をしたのは純日本的思考だった私。
異国暮らしを経験した今なら仕事を得るのに必ずしも親は要らないとわかります。
彼女は自信たっぷりだったし、むしろ家にいるのは時間の無駄だと嘆いていました。
日本とヨーロッパでの自立の仕方、社会への巣立ち方の大きな違いを知った話でした。
ちなみに、タルトフランベには滞在中にもう一度、触れる機会がありました。
ブドウ摘みを手伝ったワイナリーで、バイヤーのお客さんがワインの試飲をするときのつまみに出すからフラムクーヘン作りを手伝ってと頼まれました。
手伝いは玉ねぎむき。
山と積まれた玉ねぎはどれも芽キャベツくらい小さくて、薄い皮ははがれにくい上にもろく、ナイフを持って悪戦苦闘。
夕食後の数時間手伝ったけど、翌日の出来上がりは拝まず終いでした。。。
生地を代用すればフラムキッシュは超簡単
ピザもフラムキッシュも生地作りに手間がかかります。
手づくりの出来立て生地は本当においしいけれど、発酵させるにはまとまった時間が必要です。
でも生地を発酵させる時間がないがためにフラムキッシュを食べられないってのは残念すぎ。
諦めるにはもったいないほど(生地以外は)簡単で美味しいんです。
だったらお気に入りの生地を買ってくればいいのでは?
買ってきた生地にトッピングすればあっという間にできてしまいます。
焼き時間は3分ですから。
とくにこうやって↓
クアークを手作りしたときにはやっぱり食べたくなります。
時間がないけどフラムキッシュ食べたい…というときに私が使うのはロティ。
チャパティ同様に無発酵の薄焼きパンですが、オーストラリアではラップサンド用に市販されているのでそれを使っています。
チャパティでもいいし、トルティーヤでもいいと思います。
こんな小麦ベースのトルティーヤならおいしくできそうですね。
おいしい薄焼きピザベースが手に入るならなお良し、です。
生地を調達したら、あとは好きな時にサッと作れます。
材料
クアーク、フロマージュ・ブラン、クレーム・フレッシュ、サワークリームのいずれか
玉ねぎ
ベーコン
オプショナルで生クリーム少量…クアークやフロマージュ・ブランの場合に10~20%加えるとよりクリーミーでリッチな味に仕上がります。
作り方
1) オーブンを250℃に余熱します。オーブントースターの場合は直前に余熱します。
2) 玉ねぎはスライサーを使ってごく薄切りに、ベーコンも細長い棒状に切ります。
このまま生地にのせても十分火が通りますが、さらにたくさん載せたい場合は先に少量のオリーブオイルで炒めておけばあとはサッと焼くだけで済みます。
3) ピザ用のトレーにクッキングシートを敷き、生地を載せます。オーブントースターで焼く場合はアルミフォイルかクッキングシートに載せるだけでOK。
4) 用意したフレッシュチーズ(生クリームを加える場合は先に加えてよく混ぜたもの)またはクリームを生地にたっぷりと塗ります。
5) スライスした(または炒めた)玉ねぎとベーコンをあまり重ならないようにたっぷりと散らします。
6) オーブン、またはオーブントースターで約2~3分焼きます。生地の縁と具がこんがり焼けたら出来上がり。
まとめ
ちょいちょいっと準備して、あっという間に焼きあがりました。
お好みでコショウを挽いて、熱いうちにいただきましょう!
あっという間にできてしまうので、アツアツをいただけるよう、テーブルをすべてセットしてから作りましょう!
冷えた白ワインや白ビールがよく合いますよ~。
生地を冷凍しておけば、あとはクアークを作ったときやクレーム・フレッシュが手に入ったときにいつでも作れます。
わが家ではベーコンも少量ずつ包んで冷凍してあるので、クリームか生チーズさえ買ってくればできる一品。
具を変えても楽しめます。
スモークサーモンがあったので載せて、焼いてからチャイブをトッピングしました。
この組み合わせも美味しいですよ。
少ない材料で不意のお客さんにもサッと出せ、それでいてテーブルも華やかになるうれしい一品。
ぜひ一度試してみてください! 何度でもリピしたくなりますよ ^^b
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